求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「あの、昼に言いそびれたんだけど、忙しいのに協力してくれてありがとう。本当に助かる」
「いいって。建築デザイン部の飲み会で、俺だって関係者なんだから」
遥人はゆっくりと歩きだす。結衣もそれに続き改札を通り、ホームに向かった。
「それに水島さんは押し付けられた立場で何も悪くない。問題なのは菅原と瀬口さんだろ? もともとふたりの担当なんだから」
「でも、仕方ないよね。瀬口さんは凄く忙しいんでしょう? まだ才賀君の仕事のフォローをしているの?」
「そう。もう大丈夫だからって話はしたんだけど、勉強にもなるから続けたいって。白川課長が許可したから、今後も変わらないと思う」
「そうなんだ……」
梓の主張通り、優秀な先輩について仕事をするのは勉強になる。でも、他が疎かになるのは余裕がない証拠。
(他を犠牲にしてまで才賀君についていたいなんて)
昼間見た、梓の強い眼差しが脳裏を過る。