求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
“食事に行ったとき”そう言いそうになった言葉を、結衣はぎりぎりで飲み込んだ。
「俺と、どうしたんだ?」
「ごめん、何でもないんだ。間違えただけ」
(才賀君は、あのときのことを覚えてないのに)
隠す必要はないが、遥人が興味を持って、どういう経緯でどこに行ったのかなど、詳しく質問されるのは避けたかった。
あの夜の出来事は、たとえ無かったことになっているとしても、結衣にとって大切な思い出だ。
請われても説明する気にはなれないし、上手く冷静に話す自信もない。
だけど遥人がどこか苛立ったような声で囁いた。