求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「うそ……私と菅原君に? でもただ話してただけなのに」
「ただ話してただけでも、水島さんの側に他の男がいると思うと嫌だった。俺、結構独占欲が強いみたいだ」
今この瞬間も嫉妬しているような強い視線に捉えられて、目を逸らせなくなる。
「もう大分前から水島さんへの気持ちを自覚していたけど、告白するかは迷っていた。以前、俺から好きだと言ったくせにすっかり忘れて傷つけた。それなのにまた好きになったから付き合って欲しいなんて都合が良すぎる。あまりに身勝手だと思った」
「そんなこと……私は才賀君とまたこうして一緒に居られるのが嬉しいよ」
結衣の言葉に、遥人が目を細める。それからそっと手を伸ばし、結衣の手をそっと包んだ。
(手……繋いでる)
遥人にまで音が聞こえてしまいそうなほど、鼓動が大きい。
彼の醸し出す甘くて切なくて、どこか切迫した空気に飲まれてしまいそうだと感じる。
「以前は水島さんじゃなくて、結衣って呼んでたんだよな」
「うん。きっかけは忘れちゃったんだけど、いつの間にかそうなってた」
「そう。また名前で呼んでもいい?」
遥人の手に力が籠った気がする。