求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
話しながら、ますます絶望的な気持ちになった。
以前のように部外者にされたくない。でも立場をはっきりさせたいと伝えるのは、周囲に関係を公表して欲しいと強要するようなものだ。
(そんなの出来ない)
遥人は特殊な立場で、ただの社内恋愛では済まないのだから。
「ごめん……何でもない。ちょっと神経質になってるみたい」
「いや、俺の方こそごめん。浮かれて大切なことを言い忘れてた。また同じ失敗をするなんて本当に駄目だな」
遥人は自嘲するように言った後、結衣の手を放し改まった様子を見せる。
「才賀君?」
失敗とは何のことだろう。
「俺は結衣が好きだ。今もこれから先も側にいたいと思ってる。俺と付き合ってくれませんか?」
「付き合う……」
「恋人として。俺は結婚も考えてる」
思ってもいなかった言葉に、結衣は息を呑んだ。
(恋人……結婚……まさか……)
遥人がそこまで考えていてくれたなんて。
「ごめん、いきなり結婚なんて重いよな。でもいい加減な気持ちで告白した訳じゃないのを伝えたかったから」