求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~

「うん。それなら良かった」

「俺も最近は完全に復帰できてるし、瀬口さんとは業務を分けた方が効率がいいとは思ってるんだ。ただ、彼女が納得しなくて、休みの間フォローして貰っていた負い目があるから強く言えなかった」

「瀬口さんは、才賀君の仕事を見て成長したいんじゃないかな」

本当は私的な感情もあると疑っている。ただ遥人は全く気付いていないようなので、結衣の口から言えない。

(瀬口さんは苦手だけど、この状況で彼女の気持ちを才賀君に話すのは良くないよね)

とても卑怯な行動だ。それでも遥人の気持ちを聞くのは許されるだろうか。

「才賀君は、本当に瀬口さんを後輩としてしか見てない?」

「見てない。彼女だけでなく会社にいる女性を異性と意識して見たことはない。見ないようにしてるんだ。ただ結衣だけは特別で、惹かれるのを止められなかった」

結衣への好意を口にするとき、遥人は切ない表情をする。その度に結衣は喜びと、恥ずかしさを感じる。

「わ、分かった……疑うようなことを言ってごめんね」

「いや、これからは誤解されないように気を付ける。でも、結衣に嫉妬して貰うのは嬉しくもあるな」

「……本当に?」

面倒に感じないのだろうか。

(私も独占欲を見せていいの?)

「本当。結衣に求められている気がして気分がいい」

遥人はそう言いながら腕を伸ばし、結衣の肩を抱き寄せた。
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