求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「で、でも……よく食事や飲みに誘われてるでしょ? しかも普段関わりのない他部署の人とかと系列会社の人とか……」
「丁重に断ってる」
「そうなの?」
知らなかった。遥人は用が無かれば柔軟に誘いを受けるタイプだと思っていたから。
(だって同期会はいつも出席してるし、私が誘ったときも断らなかったし)
もしかして、応じて貰えたのは結衣だけなのだろうか。
「基本的には隙を見せないようにしてるつもり。あ、もちろん結衣以外の話だけどね」
「……私を特別だと思ってくれてるの?」
「さっきからそう言ってるだろ?」
遥人が結衣の肩を抱く手に力を込めた。更に引き寄せられる。
お互いの鼓動を感じる程の密着度。見つめ合う距離は本当に近い。
「そ、そうなんだけど私は才賀君と比べて平凡だから、なかなか自信が持てなくて……あの事故の日も人に会いに行く途中だったって言ってたでしょ? もしかして女性と約束してたんじゃないかって思い込んで落ち込むくらいだったから……」
また勘違いしてと呆れられるかと思った。
しょうがないなと苦笑いする彼を想像していた。
けれど、遥人は動揺したように顔を強張らせた。