求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
冷ややかな声に、梓は黙り込む。
「さっきも言われただろ。今のままのやり方だと損をするのは瀬口さんだ」
「また……水島さんの言うことを」
「彼女の肩を持っている訳じゃなく、俺も同じ意見だから」
「……私ってそんなに自己中ですか? 水島さんと何が違うんですか?」
梓は項垂れて呟く。少し可哀そうにも思えたが遥人はあえて突き放した。
「かなり自己中心的だ。水島さんとは全く違う。多分、他の同僚も同じ意見だろうな」
「そんな……私一生懸命やってたのに」
そう嘆く声は震えている。ようやく反抗心が消えたのだと感じ遥人は、少し口調を和らげた。
「一生懸命なのは分かってる。俺が休んでいる間も忙しい中フォローしてくれて助かった。感謝してるよ。瀬口さんはもう少し客観的になれば周りとも上手くやっていけると思う」
「……はい」
予想より素直な返事だった。
「それからアシスタントを下に見た発言は止めた方がいい。それは瀬口さんだけでなく他の社員にも言えることだから、いずれ皆にも言おうと思ってる」
「才賀さんがそこまで言うのは、やっぱり水島さんの為ですか? もしかしてあの人のことが……」
今度は遥人が梓の言葉を遮った。