求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
10 彼の婚約者
結衣が居酒屋に到着したのとほぼ同時に、亜実を含む何人かの同期が到着した。

連れ立って席に着きおしゃべりをしていると、亜実が急に高い声を上げた。

「あ、才賀君だ」

その声に誘われ扉の方に目を向けると、店員に案内された遥人が入って来るところだった。

彼はまっさきに結衣に視線を向けてにこりと微笑んだので、ほっとした気持ちになる。

(よかった、瀬口さんとは揉めなかったみたい)

先ほどの梓の剣幕はこれまでで最も激しく、言い争いにならないか不安だったのだ。

(才賀君は瀬口さんをただの後輩だって言ってたから、変なことにはならないと思うけど)

それでも心配になるのは、それだけ彼を好きだからだ。

「お疲れ」

遥人は自然に結衣の隣の席に腰を下ろす。

「お疲れさま」

梓とどう話したのか聞きたい気持ちを抑え笑顔で迎える。


遥人は他の同期に直ぐに話しかけられていた。

同期会は部署の忘年会と違い、とくに誰かが進行する訳じゃなく、適当に飲んで話す。

ハイペースで飲み盛り上がっていると、あっと言う間に一時間が経過し遅れていた高野もやって来た。

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