求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
結衣がそんな願いを胸に抱いているとき、遥人も同じ考えを持っていたようだ。
「休みの間にふたりでどこかに行きたいな」
「あ、私もそう思ってた!」
嬉しくなって、いつもよりはしゃいだ声で返事をする。
「結衣は実家に帰るよな。スケジュールは?」
「大晦日に帰って、二日には戻って来るつもり。実家は隣の県だから移動に時間もかからないし」
友人とは帰省時ではなくても簡単に会えるので、用は親戚への挨拶程度。長期滞在する必要がない。
「才賀君は実家暮らしだし帰省はないよね?」
「元旦に親戚に挨拶するくらいだな。結衣が戻ったら初詣に行こうか」
「本当? 楽しみ」
期待で胸が高鳴る。
「混んでるだろうから車は厳しいかもな。どちらにしても結衣の家に迎えに行くから」
「え……いいよ。電車だったら待ち合わせしようよ」
家で迎えを待っていたら、以前不安に陥りながら音信不通の遥人を待ったときの記憶が蘇りそうだ。
いつまでも引きずつるつもりはないけれど、初デートは安心したい。
遥人は怪訝そうにしながらも「結衣がそうしたいなら」と言ってくれた。