求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
段取りの時点で躓いた忘年会だが、予想より皆が満足してくれた。
遥人の従兄壮太が、予算よりもかなり良い料理をサービスしてくれたことも大きい。
心配事がひとつ減り、結衣は少しだけ気が楽になるのを感じていた。
とは言え、楽しく飲む気にはなれず笑顔を見せながらも、心の中では憂鬱な気持ちが渦巻いていた。
(どうすればいいんだろう……)
考えれば考えるほど、絶望的になる。
「結衣、全然食べてないじゃない。まだ胃が痛いの?」
隣に座っているまどかが、結衣の手を付けてない取り皿を見て眉をひそめる。
「少しだけ」
「リゾットなら大丈夫じゃないかな」
まどかはリゾットの大皿から少な目に取り分けてくれる。
「ありがとう」
「いいって。でもついてないね、飲み会の日に胃痛なんて。今日は料理もかなりいいのに」
まどかは残念そうにテーブルに目を向ける。それから「あ」とでも言うように唇を動かした。
「どうしたの?」
まどかがそれまでより小声で耳打ちしてくる。
「才賀さんが結衣のことを見てた。体調悪いのに気付いて心配してるんじゃない?」
遥人の席は白川と菅原、それから梓の側だ。目を向けると彼はグラスを片手に談笑している。
「……見てないけど」
「さっきは見てたの。やっぱり結衣のことを気にかけてるね。今日絶対何かあると思ったけど、結衣の様子だと早く帰った方が良さそうだよね」
どんな期待をしていたのか、まどかは本気でがっかりしている。
「……まどかから見て、才賀君は本気で心配しているように見えた?」
「見えるよ。間違いないって。結衣が気付いてないなら鈍感過ぎるから、何とかした方がいいよ」
「……鈍感って言うより、自信が足りないんだよ」
周りはガヤガヤしているし、ぼそっと呟いたに過ぎない。しかしまどかに聞こえていたようだ。
遥人の従兄壮太が、予算よりもかなり良い料理をサービスしてくれたことも大きい。
心配事がひとつ減り、結衣は少しだけ気が楽になるのを感じていた。
とは言え、楽しく飲む気にはなれず笑顔を見せながらも、心の中では憂鬱な気持ちが渦巻いていた。
(どうすればいいんだろう……)
考えれば考えるほど、絶望的になる。
「結衣、全然食べてないじゃない。まだ胃が痛いの?」
隣に座っているまどかが、結衣の手を付けてない取り皿を見て眉をひそめる。
「少しだけ」
「リゾットなら大丈夫じゃないかな」
まどかはリゾットの大皿から少な目に取り分けてくれる。
「ありがとう」
「いいって。でもついてないね、飲み会の日に胃痛なんて。今日は料理もかなりいいのに」
まどかは残念そうにテーブルに目を向ける。それから「あ」とでも言うように唇を動かした。
「どうしたの?」
まどかがそれまでより小声で耳打ちしてくる。
「才賀さんが結衣のことを見てた。体調悪いのに気付いて心配してるんじゃない?」
遥人の席は白川と菅原、それから梓の側だ。目を向けると彼はグラスを片手に談笑している。
「……見てないけど」
「さっきは見てたの。やっぱり結衣のことを気にかけてるね。今日絶対何かあると思ったけど、結衣の様子だと早く帰った方が良さそうだよね」
どんな期待をしていたのか、まどかは本気でがっかりしている。
「……まどかから見て、才賀君は本気で心配しているように見えた?」
「見えるよ。間違いないって。結衣が気付いてないなら鈍感過ぎるから、何とかした方がいいよ」
「……鈍感って言うより、自信が足りないんだよ」
周りはガヤガヤしているし、ぼそっと呟いたに過ぎない。しかしまどかに聞こえていたようだ。