求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「まあ相手が彼だから、結衣がそういう気持ちになるのは分るよ。でも自信持って大丈夫だと思うよ」
まどかははっきり断言する。
彼女にはまだ何も言えていない。でも、結衣の気持ちを察しているのかもしれない。
「こういうのって本人より周りの方が気付くのかもね。まあとにかく結衣は大丈夫。ここ数日は瀬口さんも必要以上に慣れなれしくしていないし、無理だって気づいたのかもね」
まどかの言葉を受けて、梓に目を向ける。
彼女は遥人のはす向かいに座っている。
けれど遥人と会話をしている様子はなく、菅原と何か言い合いをしている。声は全く聞こえないけれど、遠慮なくぶつかっている気配が伝わって来る。
「あのふたり、意外と仲が良いのかもね」
まどかもふたりのやり取りを見ていたようで、くすっと笑う。
「仲が良い……そうかな?」
「同期ってあんなもんじゃない? 私も前の会社の同期とは結構なんでも言い合ってたし。才賀さんと結衣はちょっと違うけどね」
「うん。話すようになったのは最近だからね。配属当初は話しづらい雰囲気で、そのまま過ごしちゃったからね」