求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
幹事としての仕事をなんとかこなし、忘年会は終了した。
役職者たちは二次会には参加しないので、結衣が見送りをし、菅原が二次会の会場に向かうことになった。
見送りを無事終えると、ようやく肩の荷が下りた。一日の仕事がようやく終わった開放感に満たされる。
菅原には体調不良で二次会には参加できないと話してある。
そのまま電車に乗り自宅マンションに帰るつもりだ。
クリスマスで賑わう通りをゆっくり歩き駅に向かう。
改札が視界に入ったとき、結衣は驚き足を止めた。
「才賀君……」
遥人が改札近くで佇んでいたのだ。黒いロングコートを羽織り、ビジネスバッグを手にしている。
長身でスタイルが良く、端整な顔立ちの彼はただ立っているだけなのに人々の目を引き目立っていた。
けれど整った顔に不機嫌さが浮かんでいる為、近寄りがたい雰囲気がある。
彼は結衣に気付くと、注目を集めたまま足早に近づいてきた。