求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~

結衣のマンションの最寄り駅で降りた。小さな駅ながらも、通りはクリスマスらしくライトアップされている。

「綺麗だね」

「ああ」

遥人は微笑んで相槌を打つと、結衣の手をそっと掴んだ。手袋越しなのに彼の温かさが伝わってくるような気がした。

「嬉しいな」

ぽつりと呟くと遥人が結衣を見下ろして来た。

「何が?」

「才賀君と思いがけずこうやって過ごせて。年内は無理だろうなって思ってたから」

長期に休んでいた影響もあり、遥人の仕事は忙しい。結衣も彼程ではないものの、幹事の仕事で時間を取られ、仕事が滞っている。

「そうだな。でも俺は元々忘年会の後に、少しだけでも結衣と過ごすつもりだったけど」

「そうなの?」

「ああ。せっかく結衣と付き合えたのに、何もしない訳ないだろ?」

「何もしないって?」

遥人は少し困ったような笑みを浮かべた。
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