求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
結衣が思わずびくりとすると、遥人は不満そうに眉をひそめた。
「ごめん」
そう言い体を起こし、ベッドから出る。逞しい体が視界に入り結衣はとっさに目を逸らした。
鳴っていたのは、床に落ちていた遥人のスマートフォン。
彼はそれを拾上げると溜息と共に「時間切れだ」と呟いた。
遥人は手早くシャワーを浴び、身支度を整えた。
睡眠が足りていないはずだが、顔に疲れはまったく出ていない。
「才賀君、本当に朝ごはん食べていかないの?」
結衣は遥人がシャワー中に着替えと、飲み物の用意をしておいた。朝食の準備はまだだが簡単なものなら十分もあれば出せる。
けれど遥人は残念そうに時間がないと断った。
「慌ただしくてごめんな」
「それはいいんだけど、何か用があるの?」
仕事ではなかったはずだけれど。
「今日は家族が揃っている数少ない日なんだ。帰って結衣と付きあっていることを話すつもりだ」
「え、私のことを?」
結衣は驚き、飲もうとしてたハーブティーのカップをテーブルに戻した。