求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
終章 プロポーズ
遥人の記憶が戻った日。
中間の駅でおちあったものの、誰にも邪魔をされずに話したくて、結局結衣の部屋に戻ることになった。
『才賀君、本当に全部思い出したの?』
彼の口から聞いても、信じられない気持ちだった。
思い出して欲しい。思い出されるのが怖い。
グラグラと揺れる気持ちに翻弄されて過ごした日々。
もう無理だと何度も思ったのに、こんなに突然終わりが来るなんて。
都合の良い夢ではないかと疑いそうになる。
そんな結衣に、遥人ははじめから全て語ってくれた。
事故のこと。日奈子との関係。結衣への想い。
『結衣を好きになったのは、横浜ホテルのプロジェクトが始まって直ぐだった。よく周りを見て皆の助けになっているのに気が付いた。自分の成果よりもチームの仕事が円滑に進むように動いていた。気遣いが出来て、仕事にも真剣に取り組んでいる人なんだと見直したんだ』
『私はアシスタントだから自然とみんなのフォロー役になっていただけだよ』
少し照れてそう言うと、遥人はさらに結衣を褒める。
『結衣が気になりはじめたのは仕事がきっかけだけど、穏やかで人を思いやれる優しい人柄に惹かれていた。俺のこともいつも元気付けてくれていたよな。あっという間に好きになっていたよ。そして、今ではもう離せないほど夢中だ』
『才賀君……そんなに褒められると恥ずかしくなるよ』
『本当のことを言ってるだけだ』
その後も遥人は結衣への想いを語った。
時には結衣も遥人への気持ちを伝え、夜が明けるまで話し込んだ。