求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「ここが才賀君の部屋?」
食後、遥人の部屋に連れて来られた結衣は、キョロキョロと辺りを見回した。
十二畳くらいの正方形の部屋。全体的に黒いインテリアで壁際にベッドが置かれている。
目を引くのは大きなデスクと本棚。建築関係の資料がずらりと並び、デスク上には家でも図面を引けるよう大画面のデスクトップが置かれている。
他はあまり家具はないシンプルな部屋だ。
「座っていて」
遥人は結衣をソファーに座らせると、デスクから何かを取り出した。
何をしているのだろうと見守る結衣の隣、遥人は座り、細長い箱と、赤いリボンがセンスよくかけられた小さな箱を差し出した。
「受け取って欲しい」
「え……これは」
「これはクリスマスプレゼントとして用意していたんだ。いろいろあって渡せなかったけど」
遥人はリボンがかっている箱に目を向けて言う。
「あ、ありがとう! あ、私プレゼント用意出来ていない」
もちろんクリスマスプレゼントは意識していたが、あの頃は仕事が忙しくとにかく時間が足りなかったのだ。
遥人も同じだと思っていたから、プレゼント交換は来年からと考えていた。
「ごめんね……今度挽回させて」
しょんぼりする結衣に遥人はくすりと笑う。