求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
結衣は奥手で二十七歳にしては恋愛経験が少ないけれど、さすがに初めてではない。
遥人の意図はしっかり理解している。
(私が才賀君と……)
気持ちを伝えあってまだ数日しか経っていない。早すぎる気もする。
だけど不思議と気持ちは定まっていた。
遥人とだったらいい。むしろ同じベッドで彼の腕に包まれ眠りたいと思う。
「大丈夫。泊まる用意しておくね」
遥人は今日も自宅まで送ってくれた。
土曜日はお昼前に迎えに来ると約束をした。
翌日の木曜日と金曜日。
遥人は関西支社に出張で不在の為、顔を合わせられなく寂しかったけれど、その分週末の約束の楽しみが大きくなった。
同じ会社、同じ部署だけれど、意外と深い会話をするチャンスがない。
週末は楽しむだけでなく、ふたりの関係や今後についてしっかり話したい。
新しい服を買い、肌と髪の手入れを念入りにし、ソワソワしながら彼の迎えを待った。
けれど、約束の時間になっても遥人は迎えに来ず、連絡すらない。
(道が混んでるのかな?)
三十分くらいは、スマートフォンを眺めながらわりと呑気に待っていた。