求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「才賀だけどしばらく出社できない。業務は何人かで分けて対応するから水島はフォローを頼む」
「え?……出社できないってどういうことですか?」
彼の姿が未だに見当たらなかったのは、席を外していたのではなく休みだから?
でもなぜ。今週は重要な会議が詰まっている。それにあれほど熱心に取り組んでいた横浜の案件もあるのに……。
(有り得ない。才賀君に何があったの?)
白川が椅子を引き腰を下ろす。結衣にも座るように言ってから改まったように切り出した。
「これから話すのは口外禁止だからな」
白川の様子がいつもと違うせいかだからか。とてつもなく嫌な予感が襲ってきた。
「……はい」
「あいつは今入院している」
「ええっ!」
思わず高い声を上げ椅子から腰を浮かす。そんな結衣に白川が咎めるような視線を向ける。
「す、すみません、驚いてしまって」
結衣は座り直しながら胸元を押さえた。心臓がドキンドキンと鳴り不安を全身に伝える。
(入院って……だから連絡が取れなかったの? やっぱり事故に遭ったの? 怪我しているの?)
心配で仕方ない。今すぐ問い質したい気持ちをなんとか抑え白川の言葉を待つ。
「土曜の朝。プライベートで外出して事故に巻き込まれたそうだ」
「土曜日……」
ざっと血の気が下がる。心配していた通り結衣の家に来る途中の事故だったのだろうか。
「あの病院はどこですか? 私お見舞いに……」
「それは無理だ。家族以外面会禁止」
「面会禁止ってそんなに酷いんですか!?」