求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「ふ、ふたりきり?」
「そう」
「どうして……」
「結衣を独占したいから」
そう言った遥人の目には確かに熱が宿っていた。
ストレートな言葉と合わせ、今度こそ動揺を隠せなくなる。頬が熱を持ちまともに遥人と目を合わせていられない。
「そんなに驚く? 態度では伝えていたつもりだったけど」
「態度って……分からないよ」
今までの遥人の言動を思い出す。優しくて、気付けば結衣の側にいて、仕事で困っていると、相談する前に気付いてフォローしてくれて……。
(才賀君は私が好きなの? まさか!)
これが友人からの相談だったら、間違いなく「彼はあなたに好意を持っている」と答えると思う。
だけど自分自身のことになると、そう断言出来ない。
どうしても遥人が結衣を選ぶとは思えないのだ。
「本当に分からない?」
「……勘違いしたくないから」
「そっか、それならはっきり言うけど……」
結衣はごくりと息を呑む。遥人の言葉を聞くのが怖い。だけど期待もしている。
一瞬がとても長く感じたその時、電話の為に席を外していた上司が戻って来た。