求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
十五分程打合せをしてから、建築デザイン部のフロアに向かうことになった。

白川を先頭に室内階段を下って行く。

急いでいるのかかなり早いスピードで、役員室から三階下の建築デザイン部のフロアに着いた頃には結衣の息は上がっていた。

白川は扉を開けると皆に大き目の声をかけ注目を集めた。

「今日から才賀が復帰する。まだ本調子ではない為、しばらく内勤だ。引継ぎなどは追って指示するから」

フロア内に驚きの声が広がって行く。

白川に促され、遥人が一歩前に進み出た。

「突然の長期休暇でご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんでした。本日より復帰させていただきます。精一杯仕事に打ち込んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」

遥人の言葉が終わると、拍手が鳴り響く。皆遥人の復帰を喜んでいるように見えた。

次々に歓迎の声がかかる中、白川に連れられ部内の小さな会議室に入った。

「当分はここを使っていいから。水島から聞いて現状を把握してくれ」

白川は早口で言い腕時計に目を遣る。

「これから構造設計担当と打合せするんだ。午後には戻って来るから休憩とかは適当に入ってくれ」

「はい」

本当に時間がないのか白川は慌てて出て行く。扉が閉まると一気に静かになった。

同時に遥人の小さな溜息が漏れ聞こえた。
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