求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「悪い、話が長引いて。あ、まだ食い終わってないんだ。もしかして待っててくれた?」
「え? いえ……」
結衣は食事なんて失念していたけれど、そうと答えるわけにもいかずに曖昧な返事をする。
「白川課長、トラブルですか?」
遥人は先ほどまでの甘ったるくてそれでいて少し危険な雰囲気から、一転していつもの爽やかな彼に戻っていた。
「そう、ちょっとまずい。才賀は戻ったら時間空けてな。打合せする」
「はい」
「水島は急ぎで資料集めて欲しい、内容は共有に入れておくから」
「はい、分かりました」
いつの間にか店内には音楽が流れていた。
軽く仕事の話をしながら食事を取るという、普段の光景。
結衣は緊張を解いて、小さく息を吐いた。