求婚蜜夜～エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい～
黙りこんだ結衣に遥人が心配そうに呼びかける。

「水島さん？」

「あ、ごめんね。少し戸惑ってしまって」

「戸惑う？」

「うん。私達ね才賀君が思ってるより仲が良かったんだよ」

遥人は僅かに目を瞠る。その反応からやはり結衣と親しくなった記憶はないのだとはっきりした。

「……横浜ホテルのプロジェクトについては？」

「俺がプロジェクトメンバーに選ばれたところまでは記憶がある」

「そう。その少しあとに私もアシスタントとしてメンバーに加わったの。それで仕事での関わりが一気に増えて、休憩中とかにも良く話すようになったんだ」

「そうなのか……ごめん、その辺りは全く覚えてないんだ」

彼は気まずそうに目を伏せる。

「謝らないで。才賀君が悪いんじゃなんだから。でも私が仕事復帰に協力する理由は分かってくれたでしょ？」

「ああ。ありがとう」

遥人はぎこちない笑みを浮かべる。結衣との距離を理解はしていても、違和感が拭えないのだろう。

それが分かったから結衣は余計なことは言わずに会議室を出た。
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