求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
遥人が持つ結衣の記憶は約半年前のもの。
再会した彼女に、外見的な違和感はあまりなかった。
強いて言えば記憶より少し痩せているような気がしたくらいだ。
しかし、言動は意外の一言だった。
迷惑そうな気配は一切なく、用意してくれた資料はとても考えられていて分かりやすい。親身になってくれているのが伝わって来た。
それだけでなく彼女の醸し出す空気が明らかに違っていた。
いつも感じていた壁のようなものが一切ない。
目が合ったときは微笑まれて驚愕した。
好意のようなものすら感じるのだ。
まさかと思う。遠い存在の自分になぜ優しく笑いかける?
ただ同情しているだけにも見えない。心からのものだと感じる。
戸惑いが強くて、その気持ちを結衣に伝える。すると彼女は少し躊躇いながら言った。
『私達ね才賀君が思ってるより仲が良かったんだよ』
衝撃だった。仲が良かった? たった半年でそれ程の変化が有ったのか?
そう言えば、結衣と白川のやり取りもやけに親しい雰囲気だった。
彼女は横浜のプロジェクトで関わりが増え親しくなったと話してくれた。
白川とも同じように馴染んだのだろう。
同僚として上手く付き合えているならそれにこしたことはない。覚えていない期間に良い方向に変わっていたのだ。
嬉しいことだと思う。
ただ、結衣がときどき悲しそうに表情を曇らせるのが気になった。