求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
それに親しくなったと聞いても実感が沸かない。

どんな話をしたのだろう。共通の話題と言えば同期入社というだけだ。

彼女は控え目な印象がある。積極的に話しかけて来るようには思えないから、恐らく遥人の方から声をかけて距離を縮めたのだろう。

ふと思いついてスマートフォンを手にした。

事故で破損したので新しく買い替えたものだ。だいたいのデータは移行できたので過去のメッセージも残っている。

アプリを開き受信したメッセージを確認する。

遥人はメッセージのやり取りがあまり好きではない。通話の方が早いし誤解なく用件が伝わると思っているからだ。

送る場合はたいてい短文でスタンプなどは使わない。家族や友人も同じようなタイプが多い為、遥人に頻繁にメッセージを送って来る相手は決まった三人に限られている。

ひとりは同期の高野。彼は自他ともに認める寂しがりやで用もないのに連絡をして来る。伝えたいことがあるのではなく、ただ繋がっていたいタイプだ。

入社して親しくなってから変わらず続いていて、記憶がない半年の間も他愛ないやりとりを頻繁にしている。

問題は残りのふたりだった。
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