求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「水島さん、どうかした? 黙ったままだけど」
「あ、何でもないよ……あの、そう言えば外装デザインの件って誰から相談されてるの?」
「……瀬口さん」
遥人の声のトーンが変化した気がした。結衣の気分も下がる。
不機嫌顔の瀬口梓を思い出してしまったのだ。そんな気持ちを隠して頷く。
「瀬口さんが?……そうなんだ」
梓は同じ建築士仲間の遥人たちにも、なかなか頼らずに仕事を抱え込むところがある。以前遥人にそう聞いていた。
けれど、遥人のフォローでしている仕事に関しては、例外のようだ。
(この前も才賀君に相談したいことがあるって言っていたっけ)
梓は元々自分の仕事で手一杯のようだったし、早く遥人の仕事を返したいのかもしれない。