求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
聞き間違えたのではなく本当に彼だった。走って来たのか少し息が乱れている。
だけどその姿は以前追いかけて来てくれた彼に重なり、結衣は小さく息を呑んだ。
(どうして才賀君が私を追って来たの?)
記憶が戻った? いや、そんな都合が良い話がある訳がない。
現に遥人の表情に浮かぶのは恋愛感情ではなく困惑。さっき高野に送別会の場所を聞かれていたのと同じ顔だ。
直ぐに期待してしまう心をなんとか落ち着かせる。
「水島さん、ごめん呼び止めて」
「大丈夫だよ、何か有ったの?」
務めて冷静さを装い応える。
「どうしても聞きたいことがあるんだ」
「え? また高野君に何か言われたの?」
「いや……こっちに来て貰っていい?」
遥人は周囲を気にしているように、結衣を人通りの少ない道に促した。
不思議なことに、重かった足は問題なく前に進むようになっていた。
偶然だけれど以前遥人と歩いた通りだ。切なさがこみ上げる。
しばらく歩くと遥人が立ち止まった。結衣を真剣な目で見下ろしながら口を開いた。
「水島さん、俺たちって本当にただの同僚だったのか?」
「……え?」
予想もしていない言葉に、ドクンと鼓動が跳ねた。
だけどその姿は以前追いかけて来てくれた彼に重なり、結衣は小さく息を呑んだ。
(どうして才賀君が私を追って来たの?)
記憶が戻った? いや、そんな都合が良い話がある訳がない。
現に遥人の表情に浮かぶのは恋愛感情ではなく困惑。さっき高野に送別会の場所を聞かれていたのと同じ顔だ。
直ぐに期待してしまう心をなんとか落ち着かせる。
「水島さん、ごめん呼び止めて」
「大丈夫だよ、何か有ったの?」
務めて冷静さを装い応える。
「どうしても聞きたいことがあるんだ」
「え? また高野君に何か言われたの?」
「いや……こっちに来て貰っていい?」
遥人は周囲を気にしているように、結衣を人通りの少ない道に促した。
不思議なことに、重かった足は問題なく前に進むようになっていた。
偶然だけれど以前遥人と歩いた通りだ。切なさがこみ上げる。
しばらく歩くと遥人が立ち止まった。結衣を真剣な目で見下ろしながら口を開いた。
「水島さん、俺たちって本当にただの同僚だったのか?」
「……え?」
予想もしていない言葉に、ドクンと鼓動が跳ねた。