求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「あ、あの……どうしてそう思うの?」

思い出した様子もないのに、なぜそんな発言をするのだろう。

「俺は水島さんの名前を呼び捨ててたんだろ? それに今が他人行儀に見える程、仲良くしていたって……少なくとも周りはそういう認識だった」

高野と亜実が言っていた内容。その時彼は追及して来なかったけれど気にしていたようだ。

「前にも言ったと思うけど、横浜ホテルの仕事をしている内に仲良くなったの。私たち同期だけど部内ではポジションの違いがあってあまり話さなかったでしょう? でも一緒に打合せをしたり現場に行ったりしているうちに、意外と気が合ったから」

全て事実だからスラスラと言えた。肝心なところは隠しているけれど、遥人は気付かないだろう。

そう思ったのに、彼は不服そうに顔をしかめた。

「それだけとは思えない」

「……なんで」

「俺は同僚の女性を気軽に呼び捨てたりしないんだ。いくら親しくても一定の距離は取らなくてはいけないと気を付けている。それなのに水島さんを呼び捨て周りからも分る程親しくしていたのだとしたら……」

そこまで言って遥人は気まずそうに視線を逸らした。けれどそれは僅かな間で、直ぐに続きを口にする。
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