求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「分かった。本当のことを言うね」

「ああ……」

遥人が緊張した様子が伝わってくる。結衣も同じで声が上ずらないようにするので精一杯。

「事故の少し前に才賀君は私を好きだと言ってくれたの。私も……同じ気持ちだったから嬉しくてその気持ちを才賀君に伝えた」

遥人が目を見開く。ある程度予想はしていても、はっきり聞きショックなのだろうか。

以前に結衣が好きだと告白したとき、遥人は本当に嬉しそうに微笑んだ。

(でも今は……)

とても困っているのだろう。なぜ結衣を好きだったのか自分でも分からないと思っているのかもしれない。


遥人が未だ黙ったままなのは、きっと何を言っても結衣を傷つける結果になるから。

結衣は小さく息を吐くと無理やり笑顔をつくった。

「今言った話は本当のことだけど、気にしないでね。私達、恋人同士だったわけじゃないから」

遥人の瞳に戸惑いが浮かぶ。

「でも俺は水島さんに告白したんだろ?」

「うん。ただその後直ぐに事故が起きたから、付き合うとかそういった話はしていなかったの。私、才賀君の家の場所も知らないんだよ。それくらいの関係」
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