もう一度、I LOVE YOU
夜遅く、拓哉は帰ってきた。

〃トントン〃
「ミク、なんか食べたか!」

シーン

カチャカチャ

ドアには鍵をかけていた。

「食べもの買って来たから・・・」

「いらない、もう構わなくて
いいよ。
あなたは、貴方の大事な事
やって‼」

部屋のドア越しに返事する。
「5日旅行にいくの?
私、行って欲しくない‼」



シ━━━━━━━ン。



拓哉は返事をせずに、寝室の隣の
ゲスト用の部屋に入って行った。


パタンとしまったドアの音は
もうミクには飽きたよ。
俺は若い葵が好きなんだ
悪いなミク1人で4、5過ごして
俺はもうミクを愛した、お前の夫で
はない、そう言っていた。




朝早く拓哉は顔を見せず仕事
へ行った、会うと責められるとでも
思ったのだろうか?

避けられている。

生理痛の時でさえ、起きれなくて
いた時は心配してくれた。、

しかし、今は顔を見せないミクを
心配する様子など無い。

これ幸いと仕事へ行った。




まあ、それが彼の返事だろう。
ミクは決心していた。

その日から準備をはじめた


「モシモシ、てんとう虫、運送さん
ですか?ゴールデンウィークの
引越しなんですけど大丈夫で
すか?」

ミクの荷物は余りない。
全部拓哉が揃えてくれた
あの頃は楽しかった。





「えー拓哉普通のレンジでいいよ、
高いよ。
もっと安い奴でいいってば‼」


「ダメダメ、お菓子とか作る
でしょミク
ケーキだって作るじゃん。

美味しいの期待してるからサ」


「う、うんありがとう。」

「普通の掃除機でいいよー」

「ダメダメ、ミクだって仕事
やめないだろ、
だったら絶対コレ
自分で動くしラクじゃん。」

「う、うん。ありがとう。」

洗濯機もボタン一つで乾燥迄
終わる。

全部私の事、考えてくれてたな。
その事には感謝しかない、間違い
なく大事にされてた。

その日から部屋にダンボールを持ち
込み、ミクは荷造りを始めた。

今日も酔っ払って帰って来た拓哉の
スマホを、例の如く解除。

食事いる要らないの連絡も無い
何時に帰ると言う連絡も当然無い。



「奥さんいいなぁ。
拓哉とずっと入れるから」

「今は、別居と同じだよ!」

「エッ‼ どうしたの?」

「つい言ってしまったよ、
年寄りってね
まだ怒ってて、すげー怖い。
鬼婆ァ見たい‼」

「当たり前じゃん。
そりゃあ 怒るよ。ハハハ」

「だろ‼ ハハハハハハハハハ
葵と比べてしまったよ。やべー」


ヽ(`Д(`Д(`Д(`Д´)Д´)Д´)Д´)ノ
ムカァ、許せ━━━━━━ん💢

スクショして成美に送る

「ゴメン、笑うしかない!」
ꉂꉂ(ˊᗜˋ*)ʬʬ成美は
「それ以上はミクが悲しく
なるよ、証拠とったら
寝ろ‼」

そう言われても指が止まらない。

スクロールしていくとこの間
部屋に鍵をした日の行動が分かっ
た。

やはり葵とホテルに行って
お楽しみだった。

色んなポーズの葵と拓哉
そんなに好きなんだ。
写メを又自分の携帯に送った
そして拓哉のスマホの写真を消
した。


「もう、修復不可能‼」

眠れなくて荷ずくりを一晩中頑張
ってみた。

クソクソクソw

洋服、化粧品、アルバムフウー
そんなに無い事が余計悲しい。

ミクの仕事は、歯科助手
たまたま虫歯の治療で来た患者が
拓哉だった。

何度も通いプロポーズする拓哉を、
何度も断った。

理由はミクが年上で、拓哉が
年下だったから

懲りずに拓哉は何度もプロポーズ
遂にミクは落ちてしまった。

そんなに昔の話では無いのに
ずーっと昔の話に思える。

しらみ始めた空を見ながら
ミクは、今までの一年を振り返って
いた。

それから鯉のぼりが悠悠と泳ぐ
五月、拓哉との距離は益々
深刻になる。

拓哉は葵にゾッコン、ハマって
晩御飯も葵と毎日食べている様子
もう、しょうが無い。


「おはよう☀
今日も早いのね。」



「あ、ああ、Σ(OωO )ビクッ!?
ゴメン最近忙しくてサ」


背広を来て出て行く所の拓哉を
捕まえて聞いた。

「そう、身体壊さないように
程々にね。」
突然現れたミクに挙動不審

「うん、じゃあ急ぐから・・・。」
サッサと話を切り上げて立ち去ろう
とする拓哉に聞いてみた。

「あ、明日から旅行だったよね。
今日ぐらい一緒に、晩御飯
食べない?」

「う・・・ん。」

煮え切らない拓哉の返事は
葵と夕食の約束をしているんだろう。

「無理?」
ミクは気まづそうに聞いてみた。

「忙しいから遅くなるし
ミクも仕事なんだろ?」


「うん。」

「連絡するよ!多分無理かも
又違う日に、あ‼
旅行から帰ったら行こうよ。
その頃なら大丈夫だからサ」


「う・・・ん。
最近話さないから
夜話がしたいな。」

拓哉は苦笑いしながら出て行った
ドアを閉めたつもりなのか

「ハ━━━━━━━━━━━ツ‼」
と深い長い溜息がミクに聞こえた。

でも最後に珈琲一杯でも、思い出に
飲みたいと思いミクは拓哉の
帰りをを待っていた。


拓哉は、飲んで来たと言っていたが
ソープの匂いと、甘い香水が
彼の背広から臭っていた。

彼女がわざと気配を見せてるんだ
と思えてならない。
彼の体に抱きついてシュッ‼
そんな気がする。

「ゴメン、疲れたから
寝かしてくんない!
くたびれてるんだ。」

明日旅行に行くのに今日も会って
来たんだ。

怒りより負けた、そう思った。
ヤキモチより絶望感が凄い。


2人は私の目を盗んで愛し合ってる。
彼女はソロソロ痺れをきらし
対抗意識を見せ始めたのか?

2人を引き離しているのは
私か?

きっと意地悪婆さんなんだろう。
チクショウウゥゥゥ‼



よく耐えているなぁ自分は馬鹿
なのかもしれない。



ビンタでブッ飛ばしてやろかー
しかし無駄なエネルギーは
惨めだ。

一回、我慢が切れたら
拓哉を攻めて攻めて攻めるだろう。

そんな無様な姿を見せてどうする。
何か変わる?
拓哉が私に帰って来てくれる?



やめた、惨めだ‼
そんな葛藤は、
ミクを疲れさせてしまっていた。

心も体も限界に近い・・・
ミクもこの現状から逃げ出したく
なっていた。

つい、1ヶ月前迄、愛されてる
幸せに溢れ心は穏やかだったのに・・・









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