もう一度、I LOVE YOU

ミク一人立ち

五月五日
小さなトラックがタワマンの前に
止まった。

マンションを出ようとする
拓哉にミクは最後に想いを込めて
聞いた。


「どうしても行くの?」

「何だよ‼
今更、断れ無いよ!
俺は行くよ。」

少し不機嫌な拓哉はプリプリして
ミクを睨んだ。

「ちゃんとお土産買うからさ
な‼」

「お土産が欲しい訳じゃないよ
絶対、要らない‼
行ってらっしゃい。
元気でね。」



「何だよ、六日には帰るんだし
大袈裟‼」



そう言うとドアを閉めて出て行った。




タワマンの入口まで来ると
拓哉は荷物を持ったまま、トラック
を見て誰か引っ越すのかな?
と不思議な顔をした。


「おはようございます
てんとう虫運輸です。」

「ああ、ご苦労さまです。」


そう挨拶をしていたら成美がやって
来た。成美の家は資産家で
マンションも持っている、
空いたマンションに入居させて
もらった。

成美は幼馴染で成美の御両親に
離婚の理由を知られるのは
嫌だったが、頼ってくれて
有難う。と言われ初めて人前で
泣いた。


グルリ窓から景色をみる。
雄大なパノラマ
こんな贅沢な暮らしはヤッパリ
私には合って無かったんだなぁ



クスンクスン
クスンクスンもう帰って来ないよー
さよならァー


広いリビングにはミクの作った
クッションもテーブルクロスも
ゴミになってしまった。

ミクの好きな花の鉢植えも
全て撤去した。

まるでミクは居なかったように
存在を消していた。

サッパリとした、独身男性の部屋
になっていた。

食器棚から自分のカップを取り出し
リュックに入れた。

そしてベソかきながら、ついに
離婚届に署名をして部屋を出た。







「奥さん大丈夫だった?」
葵は拓哉の後ろに腰掛けながら
聞いた。

「悪い奴だろ‼
葵ちゃん早く手を引いたが
いいよ。
もっと若くて独身を見つけたら?」


勝成は茶化して笑いながら
言ったが、葵に手を引かそうと
考えていた。

この2人は一線を超えている葵の
拓哉に取る態度は、あかるさまに
現彼女。

又拓哉も葵にベタベタしている
誰が見てもバレている。

拓哉の奥さんは拓哉の為に毎日
キチンと栄養の整った
美味そうな弁当を作っている。

皆羨ましそうにしている。
背広やシャツ、拓哉の身綺麗さは
一際上、そんなに尽くす奥さんを
裏切らせるのは心が痛む。

美人で可愛らしいのに・・・
俺が誘っておいて何言うんだと言わ
れるかもしれないが
あんな愛妻家の拓哉が不倫する
なんて、思わなかったからだ。





「大丈夫です。
拓哉さんの家庭を壊す気ないし
楽しければいいんですよ。」

ワイワイとしたワゴン車の中、この
間のメンバーで盛り上がっていた。


「なあ、拓哉本当に大丈夫なのか?
奥さん一人なんだろう。」
敦も気になって聞いている。

「美人の奥さんつまらないんじゃ
ないのか!」
潤一も気になっていたようだ。

唯人も、連休なのに
奥さん一人家で留守番なんて可哀想
だと同情していた。

しかも不倫旅行だ、拓哉より
友人達の方がミクの事を
心配していた。



しかし拓也は平気そうに

「うん。ちょっと気が引けたけど
楽しみの方が勝った
な‼ 葵❤。」



「もうっε٩(。•ˇ₃ˇ•。)۶з
奥さんの事話さない
でくださいー。
今は葵が、拓哉さんの彼女
なんですよ。-`ω´-」

「ああ、聞こえたゴメンゴメン。」
勝成は雰囲気を壊さないように
笑いとばした。

「アレ、拓哉
スマホテカってるぞ」

「あ、奥さんだ‼」

拓哉が葵に聞こえるように
声をあげた。

途端に葵の顔が曇る、拓也は葵の
頬を撫でながらニヤニヤして


「ヤキモチか?葵
心配するなよ!」

そう軽く笑いながらメールを開いた。




もっと葵にヤキモチ妬かせようと
した拓哉だった・・・が、メールを
開いて青ざめたのも拓哉だった。


「拓哉、葵ちゃんとの旅行楽しん
でる?
今日はね、私達結婚記念日なの

スッカリ忘れてるよね。
初めての結婚記念日だよ~(。・ω・。)
そして初めての離婚記念日だよ。

私達は、終わり。

もしかして拓哉が旅行より私を
選んでくれるカモ・・・
なーんて淡い期待抱いてしまった
けどサッサと出て行ったよね。

脳内葵ちゃんの拓哉には関係ないか‼

だからね、私も拓哉を見習って


家を出ました。
私の物は何も無いから、直ぐ葵ち
やん入居出来るよ。


テーブルに離婚届置いてます。
印鑑押して署名して実家に送るか
市役所に出して下さい。

これで嘘つか無くてすむよ。

年寄り呼ばわりして、酷いよ
拓哉
許せないから‼。

さよなら、旅行楽しんで実は
私も拓哉と旅行行く為、温泉
押さええていたのよ。


お土産はいらないから
だってもう、私も
新居に着いたから会わないし・・・


お土産貰うなんてできないし
裏切り者に用なんて無いからサ‼
早く👆4根」


拓哉の手がブルブルブルと、震えた。


「お、俺帰る。車、止めてくれ」
拓哉の態度に全員が唖然


「帰るってもうすぐ着くぞ」
勝成は、慌てて拓哉を二度見する。


「うるさい💢帰る帰る帰る
んだよー💥💢💥
じゃあ車貸してくれ、いやいい
直ぐ下ろしてくれ。」


敦も潤一も唯人も慌てふためく
拓哉を見て察した。

拓哉がどんな風にミクを手に
入れたか皆知っていたからだ。

唖然とする女の子を下ろして勝成が
拓哉を乗せて又Uターン

こんな状況で運転は無理だ‼
行きとは違う青ざめた拓哉の顔を
見て

「本気になるなって言っただろう。
遊びはバレないようにやれよ‼」

ブルブル震える手で、拓哉は
何回もミクに電話をした
が 、LINEもブロック、電話も着拒
になっていた。

その時朝見たトラックが浮かぶ
あれ・・・って、


ミクが呼んだのか?


ミクの引越しだったのか?

すると実家から電話がかかってきた。


「ちょっと、あんた馬鹿じゃないの
浮気なんかして、あんな若い子と

ミクちゃんから、アンタと・・・
・・・」


「何だよ‼
どうしたんだよ‼」

「・・・アンタと・・・浮気相手の
裸の写真見せられたわよー
《《えっ‼》》

何してんの‼
どうするの、今日だって浮気旅行
ってミクちゃん言ってたわよ。
本当なの‼

信じられないって言ったら
何もかも見せてくれたよ。
この馬鹿‼」


「なんで、なんで、
ミクが実家にいるんだよ」

「挨拶にきたのよ。
良くしてもらったからって
別れの挨拶って言って
泣いていたわよ。」

「ご、誤解何だよ!
彼女とは、そんな仲じゃないよ。

今から行くからミクを止めてくれ」

「もう居ないよ。
馬鹿だね、あんないい子
何が気に入らなかったんだ?
誤解とか嘘つくんじゃないよ

あんないやらしい写真撮る女なんて
ロクな奴じゃないよ。

あーんな変態、ゆるさないからね。
あんたも、写真なんかとるなよ
お父さんもひっくり返ったわよ﹏

血圧高いんだから・・・

もうミクちゃんも離婚するってサ。
アンタも裸、女も裸、孫作って
たんだろ‼
相手が違うだろ、1年も経って無い
のに浮気なんて、情けない。」


「いや・・・そんな
そんな、そんな・・・

なんで裸の写真が・・・」

「知らないよ‼💢
とにかく何とかしな‼」

両親はミクを気に入っていた。
祖母にも優しく、家の行事にも
積極的に参加していた。

実家はわりと知られた旧家だ
色々嫁の出番は多い、
しかしミクは嫌な顔せず進んで
家の手伝いをしてくれていた


近所の人にも自慢の嫁だった。



「俺も責任感じるよ、

お前あんなにミクさんに惚れて
いたからまさか、葵ちゃんとデキ
るなんて思わないから・・・」


「お前が、気にする事な・・・いさ。
俺がミクを・・・」

「お前ミクさんの事、年寄りって
言ってたんだって、」

「ん、ああ冗談で・・・
なんで知ってる?」

「葵ちゃん、みんなに話して
笑ってたぞ・・・
馬鹿にしながらな‼」

「は?葵が?」
運転しながら勝成は頷いた。

「お前は、気付かないかも
しれないがミクさんは綺麗だ。
だいたい、お前も笑いモノにする
なんて申し訳無いだろう‼

あんなに尽くしてくれる嫁さんに
酷すぎる💢

優しいし、料理上手いし、美人
正直お前が要らないなら

狙いたいぐらいだ、俺がもらうぞ
近すぎて彼女の良さが
見えなかったんだろ
彼女キズついてると思うぞ

それからスマホ見られてるぞ
裸の写真お前が撮ったんだろ!」



「ああ、💦
飲んだ日に撮った
でも次の日スマ〇見たら何も
写って無かったから

酔っ払ってたから
操作間違って消したんだと
思っていた。」


「(´Д` ハァ💨
その時点で気づけ‼

消したのはミクさんだろ!

《《エッ‼》》
スマ〇見られてるって思わ無かった
のか?」

「・・・そうだよな!裸の写真は
俺のスマ〇から抜き取ったん
だな。」

「これは長期戦だな‼
ミクさんは諦めたがいいかも
知れない‼
😩💨写真見られてるなら
庇えない。」



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