ずっと前から両想い
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憧れていた中学校での生活は流れるように過ぎていき、緊張で張りつめていた教室の空気も今では笑い声で溢れている。
私、大澤真奈が通う中学校は部活動がほぼ強制であり、絶賛悩み中だ。
小学校からクラブに所属していた私は陸上部へ入部することに内心決めていた。
同じクラスで仲良くなった麻衣子ちゃんがテニス部に見学に行きたいと言うまでは…。
「やっぱり部活見学行くと更に迷っちゃうよね。」
テニス部はもちろん、バスケ部、水泳部、おまけに演劇部まで足を運んだけれど、結果的には希望は変わらなかったようでとんだ無駄足だった。
「そうだ、まだ入部届出してない奴いるか?明日までに提出だからな。」
担任は高笑いをして教室を後にしたけど、迷わせない為の策なのか提出期限が短すぎじゃないだろうか。
心の中で悪態をつきながらペラペラの紙と睨めっこしていると、頭上から聞き慣れた声がした。
「あ、真奈も陸上部希望だと思った。」
同じ小学校に通っていた由真は既に届けを出したようで部活が始まったら一緒に行く約束をし、颯爽と視界から消えていった。
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