Re:unknown
あれも確か暑い日だった。
ついに決勝まで勝ち上がって
夢の甲子園まであと一歩。
そんな時だった。
セミが煩く鳴いていたのを覚えている。
相手の投手がボールを投げた瞬間、
バッターボックスにいた蒼大が倒れた。
……何が起きたのか、全く分からなかった。
周りの仲間達が一斉にグラウンドの中央へ
駆け出していって。
一足遅く駆け寄ると、
頭を抱えて倒れている蒼大の姿。
すぐに担架がやってきて
あっという間に連れていかれてしまった。
足下に残っていたのは
粉砕したヘルメットと、その破片。
割れているところを見ると、
こめかみの辺りにボールが当たったらしい。