Re:unknown
その後のことはよく覚えていない。
あともう1人いるマネージャーと交代して
私は病院に行ったんだっけ。
部屋に入ると
頭に包帯をグルグル巻いた蒼大が
こちらを向いた。
『 ……瑞葉 』
目にどんどん涙が溜まって
本人にしがみついてわんわん泣いた。
……生きてて、よかった。
まじで痛かった、と笑って言う蒼大に抱きついて
一生分の涙を流した気がする。
そして決勝戦は無事に勝ち、
夢の甲子園への切符を手に入れた。
「 なんでかな 」
お線香をあげて、手を合わせて。
毎年やっていることなのにまだ、慣れない。
蒼大はボールがぶつかった1週間後に
突然この世からいなくなってしまった。
突然すぎて、不思議と何も感じなかった。
眠るような顔で
今にも起きそうな顔で
ベッドに横たわる蒼大を見ても。
『 ねえ、起きてよ 』
甲子園出るんでしょ?
夢、叶うんだよ?
そう言って身体を揺さぶっても
もちろん目は覚まさなかった。