未明の三日月 ~その後
「えー。あんなにつわり苦しくて。産むのは、どんなに 辛いかわからないのに。もう次の子って。佳宏ずるいよ。」
美咲が言うと、佳宏は 声を上げて笑う。そして、
「本当だね。美咲 俺の子供のために、大変な思いして。ありがとう。」
と言って、美咲のお腹を 撫でてくれた。
「佳宏。」
と言って、美咲は涙を流す。
静かに しゃくり上げる美咲の肩を、佳宏は そっと抱いてくれた。
「出産、怖いでしょう。俺、何もできなくて ごめんね。」
そう言って、美咲の頭を 胸に抱く佳宏。
「ううん。私、佳宏の子供産めて、幸せ。」
美咲は 途切れ途切れに答える。
ずっと佳宏を信じて、佳宏に 頼ってきた美咲。
佳宏は 美咲が思った以上に、美咲を守ってくれた。
穏やかに 出産を迎えられるのは、佳宏のおかげだと 美咲は思っていた。