未明の三日月 ~その後
その頃から 詩帆は 人見知りが始まった。
ベビーラックで ご機嫌に遊んでいる詩帆。
帰った佳宏が、
「詩帆ちゃん。ただいま。」
と抱き上げると 泣き出す。
「もう。せっかく良い子にしていたのに。」
佳宏から 美咲が抱き取ると、詩帆は すぐに泣き止む。
「詩帆ちゃん。何で泣くの。パパ、寂しいよ。」
美咲に抱かれた詩帆は、佳宏に 笑顔を見せる。
詩帆に言った言葉は、佳宏の本音だった。
美咲は 解っていたけれど、以前のように 佳宏に頼れない。