未明の三日月 ~その後

詩帆は 手のかからない 育てやすい子供だった。

美咲は 詩帆が愛おしくて 目が離せなかった。


詩帆の 毎日の変化や成長は、美咲の生きがいだった。
 

詩帆は 離乳食もよく食べるし 無駄に泣いたり 愚図ることもない。


ハイハイを覚えてからは 部屋の中を 得意気に移動する。


美咲は 家具をどかして 詩帆が 自由に動き回れるスペースを作った。
 



最近は つかまり立ちをして テーブル伝いに歩く。

美咲は 詩帆の安全を最優先に、家具の角をガードした。


人見知りも治まり、佳宏にも 笑顔を見せる詩帆。


美咲は 詩帆が 佳宏に懐くことを、素直に喜べなかった。
 


何が 美咲の心を 蝕んでいたのだろう。


佳宏が言ったように たった一人の育児に 美咲は 押しつぶされていたのかもしれない。



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