未明の三日月 ~その後
ある夜、
「美咲。詩帆ちゃんが歩いた。」
夕食の 片付けをしている美咲に、佳宏が叫ぶ。
「嘘。」
美咲は、驚いて リビングに走る。
「いい、見ていてね。」
佳宏は 詩帆を 壁際に立たせ、自分は 少し離れる。
「詩帆ちゃん。おいで。」
と佳宏が呼ぶと 詩帆は手を伸ばして 佳宏の所まで 歩いて来た。
「わあ。詩帆ちゃん。すごいね。上手に歩けたね。」
美咲は、佳宏に抱かれる 詩帆の頭を 撫でる。
「すごいよ、佳宏。詩帆ちゃん、まだ10ヶ月なのに。歩くの早いよ。」
美咲は 興奮して言う。
佳宏を真似て 立たせた詩帆を呼ぶと 詩帆は 得意気に 美咲の所へ 歩いてくる。
「これから、もっと危なくなるね。美咲、大変だよ。」
佳宏は 嬉しそうに 美咲を見る。
「そうだね。詩帆ちゃん 怪我しないように ちゃんと見てあげないとね。」
美咲も笑顔で答えた。