未明の三日月 ~その後
休日は、3人で散歩した。
詩帆を ベビーカーに乗せて 近くの公園や 川沿いを歩く。
芝生の上に 詩帆を下ろすと、詩帆は 喜んで笑い声を上げる。
転びながら ヨチヨチ歩きをする詩帆を 佳宏は 夢中で追いかけた。
3人で外食をすることも増えた。
詩帆は、佳宏と美咲に 交替で抱かれて、レストランの中を キョロキョロ見回す。
「美咲、仕事始める前に 旅行しようか。温泉にでも入って、ゆっくりしようよ。」
佳宏は そう言って、箱根の旅館のパンフレットを 差し出す。
「うん、行きたい。温かくなったから、丁度いいね。」
各部屋に 露天風呂が付いた高級旅館。
美咲は笑顔で佳宏を見る。
「食事も 部屋で食べられるんだよ。レンタカー使えば 2時間くらいだから。詩帆ちゃんの負担も 少ないでしょう。」
得意気に説明する佳宏。
「でも高そうな旅館だよ。佳宏のヘソクリで 足りるの?」
美咲は いたずらっぽく言う。
「そう言われると思った。」
佳宏は 嬉しそうに 美咲の頭を小突く。
「嘘だよ。大丈夫。貯金増えているから。」
美咲が笑うと、逆に佳宏は
「いいの?」
驚いた顔で美咲を見る。
「て言うか マジで佳宏 そんなにヘソクリあるの?」
と美咲は驚く。
「教えなーい。」
と嬉しそうに言って、佳宏は 詩帆とお風呂に入った。