未明の三日月 ~その後
夕方 詩帆を迎えに行くと 弾ける笑顔を 美咲に向ける詩帆。
佳宏によく似た 色白の詩帆は、益々 女の子らしくなってきた。
「詩帆ちゃん。ただいま。お利口にしていたかな。」
と、詩帆を 抱き上げる美咲。
詩帆と二人 どんよりと 部屋にいた頃が 嘘のように 美咲も詩帆も 生き生きしていた。
部屋に戻って 美咲は 沢山の洗濯物を 洗いながら 夕食の準備をする。
家に帰ると、詩帆は 甘えて 抱っこをせがむ。
美咲は、詩帆の 気が済むまで詩帆を抱く。
こんなに小さいのに 詩帆は保育園で頑張っている。
だから美咲は仕事ができる。
「詩帆ちゃん。抱っこばっかりだね。」
と言いながら、美咲も 詩帆を抱くことで 癒されていく。
詩帆を構いながらでも、佳宏が帰るまでには 食事の準備が整う。
帰宅した佳宏は、詩帆と美咲に 満面の笑顔を向ける。
「パパ。パパ。」
最近、少し言葉を覚えた詩帆を 嬉しそうに 抱き上げる佳宏。
「詩帆ちゃん。お利口にしていたかな。さあ、ご飯食べようね。」
すっかり 詩帆の世話が上手になった佳宏に 美咲は微笑む。