未明の三日月 ~その後
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突然始まった 妊娠生活。
美咲のつわりは、朝と空腹時が 特に辛かった。
会社では、緊張感が つわりを抑えてくれる。
何とか 我慢して仕事をした。
でも家に帰ると、途端に 吐き気が襲ってくる。
食事の用意が できない美咲を、佳宏は 不満も言わずに 心配してくれた。
朝食は佳宏が用意してくれる。
トーストと玉子の 簡単な物でも美咲は、準備することができなかった。
「ごめんね。」
せっかく 佳宏が用意してくれた朝食も、美咲は 食べられない。
強い吐き気に 空腹感は 消されてしまう。
「もう少し食べて。電車の中で 気持ち悪くなるよ。」
佳宏は、優しく美咲を見つめる。
小さく頷いて、美咲も一口 トーストを口に入れる。