未明の三日月 ~その後
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麻有子に言われたように 2か月後 美咲は本当に 妊娠してしまった。
あまりにも早い展開に 美咲は苦笑しながら 2本の線が入った 妊娠検査薬を 佳宏に差し出す。
「本当に?美咲、大丈夫?」
佳宏は 嬉しそうに輝く目で、美咲を見る
「佳宏、これから忙しくなるよ。」
一人で遊ぶ詩帆を見ながら、美咲も笑う。
「詩帆ちゃんもお姉ちゃんか。良かった、良かった。」
と佳宏は笑顔で言う。
美咲も つい笑ってしまうような、幸せそうな笑顔で。
佳宏と出会ったこと。
詩帆が生まれ そして今 妊娠したこと。
すべてのタイミングを 美咲は思う。
必要なことは 強く求めなくても 最善のタイミングでやってくる。
麻有子はそれを運命と言った。
美咲は この妊娠を 乗り越えることができる。
そして この子が生まれることで 家族はもっと幸せになれる。
そっとお腹を撫でる美咲を、佳宏は優しく抱き締めた。
「佳宏、また、よろしくね。」
美咲は素直な気持ちで佳宏に言う。
「こちらこそ。」
と答えて、佳宏は一層、美咲を抱き締めた。