未明の三日月 ~その後

二度目の妊娠は、日常生活の中で過ぎていく。


詩帆の時 あれほど 美咲を苦しめたつわりも、美咲は 上手に乗り越えられた。
 
詩帆がいるから 気持ち悪いと言って 甘えていられない。


朝が苦しい美咲は 前日の夜に 朝食の準備を整えて眠る。


そして 自分は食卓に着かず、身支度をしながら クッキーやチョコを 口に入れる。


詩帆の朝食は 佳宏が食べさせてくれる。


そして 妊娠前と同じように 美咲は 詩帆を連れて 先に家を出る。
 


「美咲 顔色悪いね。大丈夫?」

駅で待っている佳宏が、心配そうに 美咲を覗き込む。
 

「うん。気持ち悪い。佳宏、ガム頂戴。」

ミントのガムは 美咲の吐き気を 少し抑えてくれる。


だから佳宏は いつもポケットに ガムを用意していた。
 

「はい。」

と佳宏が差し出すガムを、美咲は一つ口に入れる。
 

「これで、会社まで乗り切るよ。」


と笑う美咲を 佳宏は 愛おし気に見つめてくれた。
 

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