さよなら虎馬、ハートブレイク
なんだろう日本語って難しい! とか言いもってパンダから降り頭を抱える先輩を見ていると、ばかばかしくなって笑えた。思わず笑ってしまった顔には気付かれないように俯いたけれど、先輩は気付いていたような気がする。
「今は叶わなくてもいい。代わりに一つ約束してくれないか」
そう切り出した先輩は、笑っていたから。
「いつか、触れられるときがきたら。そしたらオズちゃん、ちゅーさせて」
「………ばかなんですね、先輩」
触れることは決してせず、やさしく、切なく、笑うひと。桜の花が散る公園、出逢いと別れの季節のこと。振り向いた先輩に、私は風でなびく髪を抑えて、
やわらかく微笑んだ。