幸せと隣り合わせの君に蜜
28話 秋の景色
秋の終わりを告げるように枯れ葉が舞う11月。
寂しさを覚えるような景色の中、私は懐かしいこの場所に来ている。
仕事先が変わって1年半。
慣れない環境と疲労から一度も前に住んでいたこの場所にも来ることはなかった。
よく使っていた駅から、少し歩いた住宅街に入ると白くて新しい家が次々と並んでいた。
「変わったな」
たった1年半でも街並みが変わることに驚く半面、まだ変わっていない公園などを見ると安心していた。
住宅街を少し歩くとこちらに手を振っている人物を見つける。
「里美!」
それは友美だった。
「久しぶり!」
変わらない可愛らしい笑顔の中、腕の中に小さな子供を抱えている。
友美の子供は写真で送られてきていたためよく見ていたが写真で感じていた成長と違って大きくなったなと感じる。
「可愛いね。友美とそっくり」
「そう?」
私たちの会話を聞いているかのように友美の子供はとても可愛い笑顔を見せる。
「ほら、笑うと友美にそっくりだよ」
久しぶりの友美との再会に安心したのかいつも以上に笑う回数が増えていた。
少しの時間だけ友美の家で会話をしていた。
時計を見て私は鞄を持って帰る準備をした。
「もう帰っちゃうの?」
「明日には帰るんだけど今日は用事があって」
「そっか。あ、私も実家で食事会あるんだった」
今気づいた。という顔をして「何時だっけ」と焦る友美を見て笑う。
「それくらい覚えておきなよ」
私が笑いながら言うと友美も「以後気をつけます」と敬礼する。
友美はいつも変わらず明るくて話しやすい。
「今度はゆっくりおいでね」
玄関先で友美が優しいトーンで言うので「ありがとう」と自然に優しいトーンになるのを感じた。
友美の家から泊まるホテルに来て荷物を一度置く。
荷物が重たかったのか肩がなまりのように重かった。
肩をまわした私は小さな持ち歩く鞄を手にして部屋を出た。
近くの公園に行くと、地面に枯れ葉が敷き詰められているようだった。
その上を歩くと枯れ葉が音楽を奏でるように鳴る。
公園の時計を見て「まだ早いかな」とつぶやくと私は公園のベンチに座った。
あまり座られないのか木のベンチはギシギシと音を立てている。
11月の公園は風が吹くたび、木の葉が音を出して揺れ、その何枚かが地面へと落ちていく。
その様子を見てふと思い出す。
この季節だったな……
頭の中によぎった記憶を噛みしめるようにゆっくりと再生していく。
その再生をするたびにふと笑顔が出る。
こんなに笑える日が来るなんて思わなかったな……
目の前にある光景を目にして笑みをこぼしている私の横から音が聞こえる。
来たかな……
私はその笑顔のまま音のする方を見た。
寂しさを覚えるような景色の中、私は懐かしいこの場所に来ている。
仕事先が変わって1年半。
慣れない環境と疲労から一度も前に住んでいたこの場所にも来ることはなかった。
よく使っていた駅から、少し歩いた住宅街に入ると白くて新しい家が次々と並んでいた。
「変わったな」
たった1年半でも街並みが変わることに驚く半面、まだ変わっていない公園などを見ると安心していた。
住宅街を少し歩くとこちらに手を振っている人物を見つける。
「里美!」
それは友美だった。
「久しぶり!」
変わらない可愛らしい笑顔の中、腕の中に小さな子供を抱えている。
友美の子供は写真で送られてきていたためよく見ていたが写真で感じていた成長と違って大きくなったなと感じる。
「可愛いね。友美とそっくり」
「そう?」
私たちの会話を聞いているかのように友美の子供はとても可愛い笑顔を見せる。
「ほら、笑うと友美にそっくりだよ」
久しぶりの友美との再会に安心したのかいつも以上に笑う回数が増えていた。
少しの時間だけ友美の家で会話をしていた。
時計を見て私は鞄を持って帰る準備をした。
「もう帰っちゃうの?」
「明日には帰るんだけど今日は用事があって」
「そっか。あ、私も実家で食事会あるんだった」
今気づいた。という顔をして「何時だっけ」と焦る友美を見て笑う。
「それくらい覚えておきなよ」
私が笑いながら言うと友美も「以後気をつけます」と敬礼する。
友美はいつも変わらず明るくて話しやすい。
「今度はゆっくりおいでね」
玄関先で友美が優しいトーンで言うので「ありがとう」と自然に優しいトーンになるのを感じた。
友美の家から泊まるホテルに来て荷物を一度置く。
荷物が重たかったのか肩がなまりのように重かった。
肩をまわした私は小さな持ち歩く鞄を手にして部屋を出た。
近くの公園に行くと、地面に枯れ葉が敷き詰められているようだった。
その上を歩くと枯れ葉が音楽を奏でるように鳴る。
公園の時計を見て「まだ早いかな」とつぶやくと私は公園のベンチに座った。
あまり座られないのか木のベンチはギシギシと音を立てている。
11月の公園は風が吹くたび、木の葉が音を出して揺れ、その何枚かが地面へと落ちていく。
その様子を見てふと思い出す。
この季節だったな……
頭の中によぎった記憶を噛みしめるようにゆっくりと再生していく。
その再生をするたびにふと笑顔が出る。
こんなに笑える日が来るなんて思わなかったな……
目の前にある光景を目にして笑みをこぼしている私の横から音が聞こえる。
来たかな……
私はその笑顔のまま音のする方を見た。