【完】淡い雪 キミと僕と
「おぉ…すげぇ」
雪が一生懸命ミルクでふやかしたドライフードに食らいつくさまを見て、西城さんは感心したように言った。
携帯で何度も写真を撮り、動画にも納める始末。立派な猫馬鹿だと思う。
しかし、彼に負けず劣らず自分の携帯にも雪の写真や動画は山のように保存されていた。…わたしも、猫馬鹿だったか。馬鹿女から、猫馬鹿に進化してしまったのだろうか。
「なぁ、雪ってすげぇ可愛い猫じゃないか?!」
「わたしも思っていたところなの。雪が雪なら何でも可愛いんだけども
少しだけ成長して、こんな美猫になるなんて驚いたわ…。」
獣医いわく鼻についていた黒いのは垢のような汚れの一種だったらしく、成長と共に自然にぽろりと取れて行ったらしい。
そうなってしまえば、真っ白い毛に、クリーム色の不思議な模様。大きくてくりくりとした瞳。通った鼻筋。愛らしい程小さな口。どこをどう取っても可愛いとしか形容出来ない。
「この模様なんなのかしら?不思議よね。
トラ、じゃないわよね?かといって、真っ白ってわけでもないし」
「これは多分レッドタビーというのではないか?今、検索したら雪に近い猫が出てきた。
どうだろうか?」
西城さんの手の中の携帯。にゃんふるでぃという可愛らしいサイトが開かれ、確かにそこには雪と似ている柄の猫が並んでいた。
…つーか、なんつーサイト検索してるっつーのよ。似合わないわよ。
突っ込まないであげるけど。
「確かに似ているわ。でも雪はもっと可愛らしいけどね」