【完】淡い雪 キミと僕と
俺は何を長々と言い訳染みた事を隼人に話しているんだろうか。
いや、いち友人として、隼人の事を思い、美麗はお勧めしないと言っているだけなのだ。優しい一面を見せたとて、所詮は港区女子。お金には目がないだろう。
隼人は確かに強面でヤクザのような男だが、一応は経営者。
そして両親は医者。金に目が眩んで隼人を傷つけないとは言い切れないだろう?…目の前でにたにた笑うこの男が女に傷つけられるとも到底思えんが。
「そうか、そうか。
それよりもお前は暇だから俺のマンションに来ているんだよなぁ?しかもこんな朝っぱらから」
「暇なんかじゃない。俺を誰だと思っている。西城グループの次期社長だぞ?
夜中まで会社で仕事をして、へとへとに疲れ切っているんだ。父親の付き人とは言っても、実質会長から仕事を任されているのはこの俺だ。
それに…今日はこれから雪に会いに行くんだ」
「ほぉー…美麗ちゃんの家に、な?」
突っかかるような隼人の言い方に、僅かながら苛立ちを覚えてしまう。
何をそんなに焦り、苛立っているのだろう。隼人は吸っていた煙草を灰皿に押し付けて、テレビのリモコンを持ったかと思えば騒がしい朝のニュース番組を消した。
そして立ち上がり、俺に言った。