【完】淡い雪 キミと僕と

「今日は仕事も暇だろうし、店の方は下の方に任せる。
俺も雪に会いたくなった」

「なッ?!」

「犬もいいが、たまにゃー猫に会うのも悪くない」

いや、それは俺にとって大分都合が悪いぞ?

何故にお前に雪を会わせなきゃいけない。そして何故美麗の家にお前を上げなくてはいけないのか。

それでも隼人は俺の顔を覗き込み、にたりといやらしい笑みを浮かべたまま「何か都合が悪い事があるか?」と煽って来るから、別にないと返し

何故か隼人まで同行する羽目になってしまった。



こいつは知りすぎているのだ。俺という男の生態を。

ただでさえ気難しい性格と言われる自分とここまで長い付き合いをしてくれる友人は中々いない。

それは隼人という男が、適当でちゃらんぽらんに見えても、とても心が広い人間という所以だろう。こいつは強面な顔面とは対称的に、人の、女の扱いに優れている。

だからあの頃の琴子への想いも、茶化しながらも真剣に聞いてくれていた。’どこがいい、あんなどこにでもいるような女の’、と言いながらも琴子をとても大切に想ってくれていた。


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