【完】淡い雪 キミと僕と

休日の朝7時。

当たり前っちゃ当たり前だが、美麗は化粧をしていなかった。髪もボサボサで、趣味の悪い花柄のパジャマのまま。

出迎えた彼女は、変な顔をした。けれど、直ぐに笑顔を作って、どうぞと中に通してくれた。足元で、雪がミャーミャと嬉しそうに鳴く。

無礼だ。

早朝早く連絡の1本も入れずに見知らぬ男を連れてくるなど、無礼の他に言葉は見当たらない。彼女だって俺ひとりが来ると想定してスッピンのパジャマ姿だったに違いない。

それでも彼女は愛想笑いをし、隼人を部屋まで招き入れ、ササっと来客用のカップにお茶を出し、そして俺を洗面所まで無理やり連れて行く。


さっきまでの笑顔とは明らかに違う。

鬼のように顔を歪ませ、顔の表情筋全てを使い怒りを露わにする。

そんなに怒らなくたっていいじゃない。いつもの軽口を叩こうとも思ったけれど、今回は99パーセント俺が悪い。反省しよう。言い訳を並べるつもりはなかった。

「どういうことだ?!」

「いや、あれは五十嵐隼人という無礼者で…雪にどうしても会いたいと言って」

「無礼者は、誰だ?!」

「はい、俺ですすいません。」

余りに気迫に頭を下げるしか出来ない。

「すいません、本当に申し訳ありません。何でもします。新作のバックでも、ワンピースでも、君の好きな物を何でも買います」

「おのれは、まだ金で全てを解決しようとして!!…でもワンピースは欲しいわ
それにしても
ほんっと勘弁してよッ。連絡1本いれるとか出来るでしょう?」

やっぱりがめつい所はあるらしい。

いや、しかし今回は俺が悪い。


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