【完】淡い雪 キミと僕と
「最もな言葉に、ぐうの音も出ません…」
「とりあえず着替えて化粧するから、絶対覗かないでね?!
そんで部屋を漁ったら殺すからね?!」
「肝に銘じておきます…」
1パーセント君に悪い所があるとするのならば、君はスッピンでパジャマ姿でも可愛いという所だ。あ、ちなみにこれは褒めてはいない。
それにしてもあいつ怖ぇよ。隼人の前ではぶりっこ全開で作り笑顔出来てたのに、まるで俺に向ける眼光は鬼そのものじゃないか。
しかしリビングに戻れば、隼人はソファーに座って、雪とじゃれあっていた。こっちの気もお構いなしに。
「おぉ!大輝、この猫俺に懐いているぞ?!」
雪は愛らしい姿を惜しげもなく晒し、この強面の男に甘えている。
そうなのだ、雪は猫らしくない猫だ。
美麗いわく、宅急便のお兄さんにもついていってしまいそうな程愛想の良い猫だ。たくッどこかの琴音猫とは大違いだな。
それはそれで寂しい。
誰にでも懐かれるのも考え物だ。俺にだけ懐ていればいいのだ。けれど母猫から愛情を貰わなかった猫だ。沢山の人から愛を貰える事はこいつにとっちゃ幸せなのかもしれないな。
隼人に嬉しそうにじゃれついていた雪は、俺の存在に気づいたのか、サッとこちらへやってきて、お腹の上にちょんと乗った。顎を撫でると、目を細め気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らす。
’だいすきだよー
さいじょーさんが1番すきだよー’
そう言っている。確かに聴こえるのだ。
誰の事を好きでも良い、誰に抱かれてもいいよ。
最後に戻ってくるのが、俺の所ならば、構わない。