【完】淡い雪 キミと僕と

「いえいえ、大輝くんに比べたら小さな会社なんですよ」

「それでもすごいです。自分でなさってるんですよね?
あ、私は山岡美麗と申します。」

「美麗さんですか。噂通り美しい方ですね。大輝君から話は聞いてます」

な ん の は な し を し た ?

隼人に見えぬよう、鬼のような顔を向け、こちらへ口パクで合図をしてきた。

両手をぶんぶんと振り、否定した。俺は、余計な事は何ひとつ言っていない!冤罪だ、何か言っていたとしたら、それは冤罪なんだ!

「いいえ~私なんて~…もう恥ずかしいところばっかり見せちゃって、五十嵐さんはどういった会社を?」

「僕は大した会社ではないんですよぉ~人材派遣の会社を経営しております。
父には病院を継げと言われていたのですが、僕って医者ってタイプではないでしょう~?
何よりも自分で会社を経営してみたいって気持ちが強くて。道楽息子なんですよ」

「え~すごぉ~い!かっこいい~!」

「いやいや僕なんて、むしろ仕事ばかりで美麗さんのような美しい女性に会う機会もなく、だから今日はこんな綺麗な女性に出会えてとても嬉しいです」

「もぉ~口が巧いですねぇ~私なんて~」

ぬぁーにが、人材派遣だぁ?!どの口が言うか?!この嘘つき狸め!

父には病院を継げと言われただと?医者の免許も持っていないくせに何を偉そうに。

嘘八百を並べる隼人にすごーい、やら、かっこいいですねぇ~と美麗はため息にも似た声色を漏らす。

おいおい、お前騙されてるぞ?!

警察!ここです!こいつです!人を欺く詐欺師はここにいます!



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